横綱鶴竜(33=井筒)が再び単独トップに立った。鶴竜は、前日の友風戦での金星配給のショックを引きずらず、関脇御嶽海(26=出羽海)を寄り切って13勝目を挙げた。結びの一番には、横綱白鵬(34=宮城野)が63度目の対戦となった平幕の琴奨菊(35=佐渡ケ嶽)戦に臨んだが、もろ差しから一気の寄りに屈し2敗目を喫した。

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星が並んだ13日目終了時点では白鵬有利と思っていた。終盤で並ばれた方が精神的に追い込まれる。だから御嶽海戦は鶴竜の精神力が試される一番だった。結果も内容も文句なし。負けを引きずらず切り替えられたのは褒めたい。友風戦は力負けしたわけでなくタイミングで負けただけ、攻める姿勢に間違いはないんだと立て直したんだろう。まわしを取れなくても前に出れば自然とまわしに手がかかる、今場所の良さを象徴する内容だった。一方の白鵬は油断があったか。60回以上の対戦で攻め方、勝ち方は熟知している。琴奨菊が左からうまく攻めたこともあるが、今場所の白鵬の相撲そのものが粗いというか、目いっぱいという印象だ。そんな現状で、本割と優勝決定戦で連勝しての逆転優勝は難しい。鶴竜は結びの一番で自分の相撲を取りきればいい、負けたら次のことはその時に考えればいい。そんな考え方が出来るのも、リードしている側の強みだ。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)