大相撲秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)で新十両に昇進することが決まった玉木改め朝玉勢(あさぎょくせい、26=高砂)が24日、愛知・蟹江町の部屋宿舎で会見した。

会見には師匠の高砂親方(元大関朝潮)も同席。21日に千秋楽を迎えた名古屋場所では、東幕下3枚目で4勝3敗と勝ち越し、昇進は有力視されていた。それでも「正式に決まるまでは不安というか」と、落ち着かない日々を過ごしていたという。この日、部屋付きの若松親方(元前頭朝乃若)から電話で「無事、昇進できたぞ」と連絡を受けて、ようやく胸をなで下ろした。

朝玉勢の由来は、高砂部屋力士の「朝」と、本名の玉木の「玉」、さらには出身の三重県伊勢市の「勢」。中学時代から単身、相撲に打ち込んでいた際に、3年間世話になった下宿先で、三重県の名物「さわ餅」を販売する竹内餅店の家主に名付けてもらった。「自分の名前も入っているからいいですね」と、昇進した際を想定し、前日23日に決めたという。師匠からもお墨付きを得て、この日の発表となった。

16年初場所の前相撲で初土俵を踏み、序ノ口、序二段と連続で全勝優勝を果たした。同年秋場所には幕下まで駆け上がったが、その後、3年間も幕下にとどまっていた。近大、入門と同期だった前頭朝乃山は、三段目最下位格(100枚目)付け出しデビューとはいえ、1年で新十両に昇進し、5月の夏場所では初優勝。「あこがれというか、そんな感じはあった」と、遠くに感じたこともあった。それでも、ようやく同じ関取衆という立場となり「幕内で一緒に土俵入りしたい」と、すぐに幕内まで番付を上げる決意を語った。

高砂親方は「大学時代はキャプテンをやっていた。信頼や人望はある。でも何か一つ足りない。こいつの場合は気持ちの強さ。人のいいところがあるけど、勝負なんだから。朝乃山にすぐに追いつくだけの、秘めたものはある。『玉』がついているんだから、玉は磨かないと」と、原石に見立て、今後の成長に期待していた。

180センチ、135キロと、けっして大きくないが、ほぼ同じような体格の前頭松鳳山が目標だ。「松鳳山関のようにスピードのある相撲を取っていきたい。立ち合いから圧力をかけて、前に出る相撲がしたい」。名古屋場所では互いに3勝3敗から、新十両昇進をかけて元横綱朝青龍のおいの豊昇龍と対戦。スピードのある相手よりも、さらにスピードで上回って破った一番のように、土俵を沸かせる可能性を秘めている。