大相撲史上最多の優勝42度を誇る横綱白鵬(本名ムンフバト・ダバジャルガル、34=宮城野)の日本国籍取得が3日、官報で告示された。年寄名跡襲名には日本国籍が必要であり、引退後「親方」として日本相撲協会に残る資格を得た。白鵬は6月にモンゴル国籍離脱を承認されていた。

白鵬は朝稽古後、正午すぎに都内の部屋前で取材に応じた。以下、一問一答。

白鵬 今年に入って、帰化の申請を考えてやってきて、本日、正式に「白鵬翔」という名前で日本人国籍を取得しました。

-実感はあるか?

白鵬 今朝8時半頃に(日本国籍の取得を)知りましたが、実感はあまりなかったです。寝起きだったというか(今話していて)あらためて(日本人に)なったんだなと。

-言葉を選びながら(丁寧に)しゃべっているようだ

白鵬 15歳で(日本に)来た時はやせっぽち。当時は全く特別(な力士)ではなかったですが、稽古に稽古を重ねて強くなってきたわけです。18年間、相撲一筋でやってきたことが、今日につながったと思います。

-モンゴルから国籍がかわることになる

白鵬 人間そのものが変わるわけではないです。自分の(生まれた)国を愛しているからこそ、日本を愛せる。両親、兄弟を愛しているからこそ、この国の人を愛せると思います。

-母親には連絡したか

白鵬 まだです。こういうこと(国籍の変更)は2、3年前から相談してきた。(昨年他界した)天国にいるオヤジ(ムンフバトさん)が「わが道を行け」と後押ししてくれたのが大きかったです。来年は東京オリンピックがありますが、オヤジはメキシコ五輪(のレスリング)でメダルをとるなど、世界を見てきた人ですから。

-来年のオリンピックは日本とモンゴル、どちらの応援を?

白鵬 両方です。この両方の国が認めてくれないと(国籍を変えることは)できなかったです。両方の国と、相撲があったからこそ、ここまで来ることができました。相撲の発展に努力していきたいです。

-指導者としても期待される

白鵬 今までは自分が相撲を取ることで精いっぱいでしたが、これからは別の(指導者としての)道ができた。どういう感じになるか、全くわかりませんが、強いお相撲さんを育てて、協会、ファンの皆さんに恩返ししたいです。

-日本国籍を取得して、今、何がしたい

白鵬 う~ん、まず目の前のことを1つずつ。(今年は)秋場所、九州場所と残っている。この頃はけがが多いんで、けがなく頑張っていきたいです。

-あらためて心境を

白鵬 平成19年に横綱昇進して、精神一到貫いて、横綱の座に恥じないように頑張ってきました。今まではモンゴルが背中にありましたけど(これからは)2つの国が背中にのしかかってくる感じですね。