4場所ぶりの復帰となった幕内経験者の西幕下46枚目千代の国(29=九重)が、自身初の幕下優勝で復活を印象づけた。

大関経験者の東幕下27枚目照ノ富士(27=伊勢ケ浜)との全勝対決。突っ張りで相手を遠ざける展開に持ち込んだ。最後こそ右を抱えられたが「小手投げを(食らうイメージは)頭に意識していた」と、引っこ抜いて得意の突き、押しでとどめを刺した。

左膝複合靱帯(じんたい)の損傷から復帰し、今場所は日を追うごとに状態も上がってきたという。「初日に(照ノ富士と)当たっていたら分からない。思い切って当たれるので、最後が照ノ富士で良かった」。大関経験者と幕内経験者という幕下では異例の取組に、会場から大きな拍手と歓声が巻き起こった。「(歓声で)明るくなった土俵はすごくうれしかった」と、感謝するように語った。

場所前は不安を感じながらの調整だったが「(出場は)自分で決めたこと」と腹をくくった。序二段、三段目、十両での優勝経験を持ち、幕下優勝は初めてだった。最高位は前頭筆頭。目前だった新三役を逃したことが、自身の中で心残りという。「まずは関取に上がる。(もう1場所)幕下で頑張りたい」と、来場所で幕下から脱出する覚悟を示した。