関脇御嶽海(26=出羽海)が注文相撲でトップタイの3敗を守り、千秋楽での2度目の賜杯取りにつなげた。豪栄道戦で立ち合い、右に変化し、一瞬で突き落とした。

取組後、事前に考えていたのかと問われると「とっさでした」と答えた。「うれしいですよ、勝ったら」と言いつつも「自分の相撲というより、白星をとってしまった感じ」と胸の内を明かした。

前日の13日目に通算在位17場所目の三役で2度目となる10勝に到達。今場所の「目標」をクリアした。この日の朝稽古後は「(相撲は)まだあるの? もう終わったでしょ。後は貴景勝君に頑張ってもらって、僕はもう2日、相撲を取るだけ」と話していたが、ここ一番で勝負師の本性が顔を出した。

御嶽海の立ち合い変化について問われた八角理事長(元横綱北勝海)は「優勝経験があるから、今日は絶対に勝たなきゃいけないと思ったんだろう」と言って、続けた。

「大事な一番で度胸あるな。緊張する中でなかなかできるもんじゃない。もし失敗したら、悔いは残るし。度胸がいい」-。

千秋楽は遠藤と対戦し、勝てば、貴景勝-隠岐の海という3敗対決の勝者と優勝決定戦に臨む。割りが組まれる前の支度部屋で「優勝より、もう一番勝ちたい、あと一番(相撲を)取るという気持ち。決定戦になったら、体力残ってないでしょう」と話した。2度目の優勝となれば、現役では白鵬、鶴竜の両横綱を除いて初めて。次世代リーダーを自負する男が“勲章”を奪いにいく。