3連敗でどうなることかと思った高安が、必死に白星をもぎ取った。玉鷲の突き放しを、下からあてがいながら必死に残した。その気持ちが、玉鷲の腰砕けのような自滅を誘った。辛抱して我慢すれば、勝機は必ずやってくる。15日間、一方的に勝つだけが相撲じゃない。しのいで勝つことも大切で、苦しい時こそ自分を信じてガムシャラに取ること。精神論ではないが、一生懸命にやっている姿は必ず誰かが見ているし、力を貸してくれるものだ。

初日の大栄翔戦はいい相撲だったが、以後は腰も高く力の出し方が相撲とかみ合わなかった。差しに行くような立ち合いも、本来の威力が半減して勢いがなかった。やはり全休明けで相撲勘が戻っていないのだろう。この日のような体ごとぶつかって行く相撲を重ねれば徐々に取り戻せる。白鵬に黒星をつけるぐらいの気持ちで、大関の重責を果たしてほしい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)