現役関取最年長で奮闘の土俵が続く東十両11枚目の豊ノ島(36=時津風)が、9敗目(4勝)を喫し十両残留に暗雲が垂れこめた。

ここまで1勝11敗と元気がない西3枚目の木崎海(24=木瀬)と対戦。場所中にケガをした相手の相撲を前日、初めて見たが1勝しかしていない力士とは思えない動きに、気を緩めることはなかった。そのためにも立ち合いに集中。「踏み込んでいかないと、やられるなと思った。立ち合いは今の豊ノ島が出せる最高の立ち合い。最近で一番いい立ち合いだった」と振り返った。ただ「自分の感覚では(その後も)もう少し押し込めたんじゃないかなと思った」と話すように、十分に圧力が伝わらない。そうこうするうちに逆に押し込まれ、左から相手を引いてしまった。左のど輪で押しでのけ反らされ、何とか左腕を手繰って反撃を試みようとしたが万事休した。

取組後、支度部屋で身支度を整え、国技館を離れる道すがら歩きながら取材に応じる。つい数日前までは数人程度だった報道陣が、この日は20人ほどに増えた。その数に「こんなに…。リアルな感じだな」と、瀬戸際に追い込まれた苦境を、そんな言葉で表現した。関取の座を確実に守るためには、残り2日で全勝が必要。そんな状況にも「今の状況では大変だけど、自分を信じてね。これだけ長くやってきたんだから、思い切って取りたいね」。悔いは残さないつもりだ。