日本相撲協会は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月1日に臨時理事会を開き、春場所(8日初日、エディオンアリーナ大阪)の開催可否について、無観客開催か中止に絞って最終決断を下す。

1日に26回目の誕生日を迎える大関とりの関脇朝乃山(高砂)は2月29日、大阪市の時津風部屋に出向き、居合わせた平幕の高安らと申し合い稽古を行った。春場所に向けて調整する一方で、複雑な心境を吐露した。

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26回目の誕生日よりも、断然関心が高い事がある。出稽古を終えた朝乃山は、報道陣に翌日の誕生日を指摘されるも「全然気にしていません。(祝いは)高校までです」と話題を流し、「とりあえず(相撲協会の)決断が気になります」とそわそわした。

3月1日に臨時理事会を開き、春場所開催について無観客開催か中止かの決断を下す。通常開催の選択肢もあったが、尾車事業部長(元大関琴風)が先日「相撲協会だけ通常開催はありえない」と個人的見解を示し、状況的にも可能性は極めて低い。そんな中で朝乃山は「無観客で開催したとして、もし途中で協会員の誰かが感染してしまったらどうなるんですかね?」などと心配の声を上げた。

それでも本場所のために準備は進める。この日は大関経験者の高安や関脇正代らと申し合い稽古を行い、12番取って6勝。馬力のある高安相手に得意の右四つの感触を確かめた。「(高安と)普段なかなかできないのでやりたかった。悪くはない。いい稽古ができた」。開催の可否が頭の片隅にちらつきながらも、大関とりに向けて順調に仕上げている様子だった。

尾車事業部長は臨時理事会前日のこの日も、先発事務所で高島春場所担当部長(元関脇高望山)らと話し合いを行った。「明日みんなでしっかりと話し合って決める」。戦後初の無観客開催か、八百長問題の影響で開催できなかった11年春場所以来3度目の中止か。歴史的決断がいよいよ下される。