大関とりの関脇朝乃山が、横綱鶴竜に下手投げで負けて今場所4敗目を喫した。

1分20秒に及ぶ協議を、鶴竜は自信を持って、冷静に見つめていた。「自分でしっかり見えていたので大丈夫だろうとは思っていた」。投げの打ち合い、左肘が先についた朝乃山に対して、鶴竜は頭から落ちる執念で勝利をつかんだ。「自然とそうなっただけ」。2敗を守り、13年九州場所の日馬富士-白鵬以来、6年3カ月ぶりとなる千秋楽相星決戦で白鵬と対戦する。

前回の反省があった。昨年秋場所では相手得意の右四つから「無理矢理投げにいって負けた」。今回は攻め急がず、右四つから巻き替えてもろ差し。重心を十分に落とし、土俵際の粘り腰を生んだ。連日、横綱が若手の壁になっているが「そういうのは意識していない」と淡々。昨年9月の部屋移籍後、優勝はおろか15日間を皆勤したことがなかったが、横綱の責任を果たす活躍を見せている。7度目の優勝へ「ここまできたらやるだけ」と、短い言葉に決意を込めた。

◆千秋楽相星決戦 1場所15日制となった49年夏場所以降では38例ある。横綱同士は過去に24回で、全勝同士は5回。最多は千代の富士の9回で4勝5敗、次いで北の湖、貴乃花の2人が7回登場している。白鵬は過去1勝3敗、鶴竜にとっては初めての千秋楽相星決戦となる。