今度こそおじ超えだ! 日本相撲協会は31日、秋場所(9月13日初日、東京・両国国技館)の番付を発表し、豊昇龍(21=立浪)の新入幕昇進を決めた。

元横綱朝青龍のおいっ子は、序ノ口デビューから幕内までの出世スピードでおじより3場所遅れたものの、おじが果たせなかった新入幕での2桁勝利と三賞獲得に意欲を燃やした。また、この日行われた理事会で秋場所の開催が正式に決定した。

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「ドルジ」のDNAが幕内に戻ってくる。都内で行われたリモート会見で、豊昇龍の笑みが自然とこぼれた。「(昨年九州場所の)新十両で負け越して、おじさんみたいに早く上がれないと思っていた。こんなに早く上がるとは」。序ノ口デビューから所要14場所、2年半での新入幕。スピード出世だが、おじは所要11場所で幕内に駆け上がった。会見に同席した師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「常におじさんの影を追っているので、もっと早く上がりたかったのでは」と弟子の心中を察した。

あこがれのおじに認めてもらいたい。新入幕が決まり、ドルジの愛称で知られる元朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏からは、師匠を通じて「おめでとう」と祝福の連絡があった。モンゴルに住んでいた少年時代、テレビで活躍していたおじは輝かしかった。今でも映像を見返すと「おじさんの相撲はワクワクして、いきなり体が熱くなる。自分もこの人みたいになりたい」と興奮は止まらない。普段は「めちゃくちゃ怖い」と厳しいおじ。「そんな人に褒めてもらいたい」と気持ちを高ぶらせた。

新入幕場所の目標は「2桁勝って三賞を取る」と明確に掲げた。おじが新入幕で9勝止まりだったことについては「それは知らなかった」と笑顔で反応。「幕内でも相手に動き負けないようにしたい」。初土俵から2年半で体重は30キロ近く増加し、直近2場所痛めていた腰の状態も上向いてきた。おじと同じくスピードが自慢の21歳が、待ち望んでいた幕内の土俵を迎える。【佐藤礼征】

◆豊昇龍智勝(ほうしょうりゅう・ともかつ)本名ビャンバスレン・スガラグチャー。1999年(平11)5月22日、モンゴル・ウランバートル出身。11歳からレスリングを始め、高校から来日して千葉・日体大柏高ではレスリング部に入部するも、両国国技館で本場所を観戦して相撲への転向を決意。高1途中から相撲部に入部し、3年時の高校総体個人の部で準優勝。17年九州場所で初土俵を踏み、19年九州場所で新十両。20年秋場所で新入幕。186センチ、131キロ。得意は右四つ、寄り、投げ。