日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)は23日、東京・両国国技館で定例会を開き、11月場所を全休して3場所連続で休場した横綱白鵬(35=宮城野)と横綱鶴竜(35=陸奥)に対して、出席した6人の委員の総意で「注意」を決議した。横審の決議事項には厳しい順から引退勧告、注意、激励があり、注意が決議されるのは初めて。

定例会後にオンライン取材に応じた矢野弘典委員長は「休場が多いので注意を与えて奮起を促した。来場所には覚悟を決めて備えてもらいたい」と説明した。横審は両横綱の18年九州場所からの2年間の成績に注目。12場所中、皆勤したのはともに4場所のみで、休場が3分の2を占めた。秋場所後の定例会では、激励の決議を下す声も挙がったというが見送った。奮起を期待した11月場所だったが「期待に反して2人とも休場。横綱の責任を十分に果たしてきたとは言えない」と厳しい言葉を並べた。

横審は過去に、8場所連続で休場するなどした稀勢の里が、18年九州場所で初日から4連敗して途中休場した際に激励の決議を下した。両横綱の状況は、当時の稀勢の里と似ているが「少し踏み込んだ判断をして本人の自覚を促す。2人一緒に休むこと自体、責任の重さ、置かれている状況を認識しているのかということ」と話した。朝青龍が10年初場所中に泥酔し暴行問題を起こした際には、引退勧告書を相撲協会に提出したこともある。

来年1月の初場所(10日初日、東京・両国国技館)出場については「最終的に決めるのは本人。強制はしないが、横綱がいるのに出場しない場所は長く続けてはいけない」。結果によりさらに重い決議を下す可能性については、初場所の結果を見てから委員らで話し合いをするとした。

◆横審の勧告規定 横綱審議委員会規則の横綱推薦の内規第5条に「横綱が次の各項に該当する場合、横綱審議委員会はその実態をよく調査して、出席委員の3分の2以上の決議により激励、注意、引退勧告等をなす」とある。該当理由は(イ)休場が多い場合。ただし休場する時でも、そのけが、病気の内容によっては審議の上、再起の可能性を認めて治療に専念させることがある(ロ)横綱として体面を汚す場合(ハ)横綱として不成績であり、その位にたえないと認めた場合となっている。なお、勧告に強制力はない。