小結御嶽海(28=出羽海)が16日、大相撲春場所(3月14日初日、東京・両国国技館)に向けての朝稽古終了後、報道陣の取材に応じた。

部屋に関取衆が不在のため、この日の稽古は四股、すり足などの基礎運動に、幕下以下の若い衆3人相手に15番取り、徳俵から反対の徳俵までの押しで汗を流した。相撲を取る稽古は15日から始めたという。

3大関を撃破したかと思えば、三役には3戦全敗とムラがありながら、9勝6敗で5場所連続となる来場所の三役はキープが確実。その初場所を「引かずに前に出る自分の相撲が取れていたから、4日目から4連敗しても、そんなに気にしていなかった」とし、逆に8日目からの6連勝も「引かないことをやり続けたので流れがついてきた」とし、3大関撃破も「向かっていく気持ちを出せた」ことが勝因とし「一番一番が記憶に、しっかり残る15日間だった」と振り返った。

それでも優勝2度の実力者だけに、関係者が物足りなさを感じるのも無理からぬ話。平幕の大栄翔に優勝をさらわれたことで「上と下のレベル差が小さくなっていると、周囲から見られていると思う。だからこそ自分は三役として2ケタ勝利を当たり前のように挙げていきたいと考えている」と、さらなる発奮材にしたい考えのようだ。

課題として取り組んでいるのは「俊敏性を磨くことに重点を置いてやっている」という。「自分は以前からスピード=重さだと思ってきた。体重が増えても持ち味のスピードが絡めば、さらに重さ(圧力)が出る-と思ってきたけど、どうもしっくりきていなかった。思い通りに動けることが大事」と科学的に分析。一時は180キロ近くまで増えていた体重は現在、意図せず3年前の今ごろと同じ170キロを切るが、筋力が落ちているわけでない感覚も確認。前への一辺倒でなく「思い通りに動くこと」を念頭に稽古で汗を流す日々だ。

20日から関取衆が集まる合同稽古への参加も表明。初場所前の合同稽古は、背中の筋肉を痛めたこともあり、初日だけの参加だったが、今回は万全を期して臨む。開催が見送られた大阪のファンには「年に1度の大阪なので申し訳ないし自分も寂しい」と話しながらも「テレビ越しに見てもらって自分としては特別な場所にしたい」と、幕下10枚目格付け出しの入門から7年目となる春場所への思いを込めた。