関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が昨年7月場所以来の優勝を果たして、確実にしている大関復帰に花を添えた。大関貴景勝を破って12勝目。3度目の幕内優勝は関脇以下では初となる快挙を成し遂げた。

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今場所の各力士の力量を考えれば、照ノ富士の優勝は落ち着くところに落ち着いたということだろう。相撲内容は少し雑な感じも見受けられたが、負けない相撲を取れる。懐の深さ、まわしの取り方とか大関経験者だから相撲の取り方を知っている。逆に言えば、ふがいなかった3大関には奮起を求めたい。貴景勝は減量で押す圧力が落ちた。今の体重に慣れてスピードを生かしたいところだ。朝乃山は合同稽古で泥だらけになるぐらいでないと部屋の稽古だけでは地力がつかない。正代は引く相撲が多く気力も感じられなかった。3大関には、いつまでもお山の大将では上の番付は望めないと言いたい。いつの間にか、横綱に一番近いのは照ノ富士に取って代わられた。来場所も白鵬は休場のようだが、もう番付には横綱はいないと思って、4大関で「俺が相撲界を引っ張るんだ」と、しのぎを削ってほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)