大相撲初場所で初優勝を果たした小結大栄翔(27=追手風)と、平幕の剣翔(29=追手風)が21日、都内で行われた「日大校友会大阪支部」による化粧まわし贈呈式に出席した。大栄翔は日大大学院に在学中で、剣翔は日大OB。日大の田中英壽理事長から化粧まわしを贈られた大栄翔は「伝統ある日本大学の化粧まわし。来場所はこの化粧まわしをつけて土俵入りして、成績を残せるように頑張りたい」と話し、剣翔は「この化粧まわしをつけて来場所また大暴れできるように頑張りたいと思います」と意気込んだ。

化粧まわしは田中理事長の夫人で日本女子相撲連盟の田中優子副会長がデザイン。大栄翔の化粧まわしは富士山と桜が描かれ「日本の代表的なもの」と田中副会長。今後の出世の意味も込めて、日本最高峰の山を入れたという。大栄翔は「すごいきれいな富士と桜のデザイン。とてもきれいに格好良く作ってもらった」と感謝した。

剣翔の化粧まわしは七福神「大黒天」が描かれており「剣翔桃太郎っぽい化粧まわしだと思います」と、自身のしこ名と重ねるように縁起の良さを感じていた。

贈呈式の祝辞を述べた田中理事長は、大栄翔に対して「これから大関を目指して頑張っていると思う。まだ27歳で強くなる。とにかく当たって突いて突きまくるしかない」と激励した。祝辞の中で特に稽古の重要性について強調し「最近(の力士)は20番くらいで稽古をやめている。稽古不足。昔のお相撲さんはよく稽古した。初代若乃花は1日100番以上稽古していた。稽古をする人は出世する」と話した。田中理事長の話を聞いた大栄翔は「田中先生の言う通りもっと稽古しないといけない。稽古をやっていけば結果をついてくる」とうなずいた。

大栄翔は昨年4月から日大大学院の総合社会情報研究科に通っており、相撲部屋制度に通じる同族経営、ファミリービジネスについて学んでいる。贈呈式には担当教授の加藤孝治氏らも出席。加藤氏は「(大栄翔は)1年間リモートという形だがいろんなことを学んでいる。次の1年間で論文を仕上げていく。遠隔教育でコミュニケーションを取りながら、学びを進めていく」と今後の授業を見通した。大学院での授業について大栄翔は「分からないことばかり。たくさんの方々に支えてもらっている」と話した。

現役の関取が大学院に通うのは異例の試み。文武両道を実践する27歳は「今までにないことだと思うので、これから(他の力士やアスリートでも)増えていってくれれば」と、モデルケースとして活躍することを誓った。

優勝翌場所の春場所では8勝7敗と勝ち越しを決めた。夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)まで1カ月弱。都内では新型コロナウイルスの感染拡大が続く。緊急事態宣言が発令されれば、観客の増減など夏場所開催に影響を及ぼす可能性もあるが「それでやる気が落ちてはいけない。しっかり稽古をして備えたい」と意気込んだ。