綱とりに視界良好! 場所後の横綱昇進を目指す大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、過去2戦2勝で平幕の翔猿(29=追手風)を、危なげない相撲ではたき込んで、先場所に続く無傷での8日目勝ち越しを決めた。

動き回りながら何とか懐に飛び込もうとする相手に対し、足をそろえることなく対応。左からの引っ張り込みこそ振りほどかれたが、距離を取って再び冷静に対処した。最後は無理な体勢から前のめりに突っ込む翔猿を冷静にはたきこみ、土俵上を1回転させた。

日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、まずは「(照ノ富士の引っ張り込みを)振りほどいて、つかまえられたり差させないように、うまく取ったけど見られてしまった」と翔猿の何とかしようとする姿勢を評価。ただ、やはり照ノ富士の対応が冷静だったことを分析し「勝つべくして勝っている。内容が安定しています。(今後も)今日みたいに慌てない相撲を取っていくことが大事」と話した。

優勝争いは中盤にして、全勝の2人を後続は平幕の3人が2差で追う展開で、両者のマッチレースの様相を呈してきた。全勝で並走する展開は「上を目指すというより一番一番でしょう。1人が抜け出すと受け身になって墓穴を掘ることがある。そういう意味で、いい緊張感があるのでは」と全勝の2人にとっては理想の展開であることを読み解いていた。