場所もいよいよ佳境に入り、土つかずの13連勝とした横綱白鵬(36=宮城野)と大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)に優勝争いは絞られた。ともに熱戦が期待されたが、力の差をまざまざと見せつけての快勝だった。

先に土俵に上がった照ノ富士は、今場所最初で最後の大関戦で正代(29=時津風)を押し出した。協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は、力を出し切れない正代について「膝が突っ立っているから勝負どころで、あれ以上の力が入らない。最後のところも寄るところも」と勝機がありながら攻めきれない一番を、もどかしそうに解説。それをさせなかった照ノ富士の13連勝には「立派ですよ」とほめた。

今場所は照ノ富士が勝った後で常に土俵に上がり、負けられないというプレッシャーがかかる中でも、白鵬は強さを発揮。関脇高安(30=田子ノ浦)に対し、右で張った後、高安の右腕をたぐり、そのまま取ったりで勝負を決めた。取組前に「高安は右から、かち上げるような厳しい立ち合いができれば」と期待。その通りの立ち合いに「高安はかち上げ気味にいったけど、すぐにいなされた」と解説。取ったりの決まり手だが、同理事長は「腕を手繰ったというより(高安の右腕が)きまってしまった、ということだろう。反応がいい」と、流れの中で自在に相撲を取れる白鵬の、対応力の高さをあらためて評価していた。