新横綱の照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、玉鷲(26=片男波)を相手にヒヤリとさせられたものの、最後はもろ差しから危なげなく寄り切って8連勝。ストレートで勝ち越しを決めた。

立ち合いは意表を突かれた。玉鷲に立ち合い、当たって左に動かれ左おっつけ、右のど輪押しでのけ反らされ、東土俵に詰まった。だが、密着していたのが幸い。懸命にしのぐと右、左と二本差し、体を入れ替えると、腰をドッシリ下ろして盤石の寄りで勝負を決めた。

波乱の予感で館内は沸いたが、報道陣の電話取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「のけ反って、ちょっとヒヤッとしたかな。ほんのちょっとだけど」と新横綱の安泰ぶりを評価。無傷での勝ち越し決定に「8連勝は立派ですよ。新横綱で。相撲も落ち着いている。このまま自分の相撲を取ってほしい」と期待した。

取組前にも「(相撲)内容もだけど、勝ち方が全部いい。自分の相撲を取りきっている。気負いもないし自分が出来ることをやっている」と高く評価。理事長自身の横綱初優勝を振り返り「『責任を果たした』という思いがあったような気がしますね。横綱の優勝は(大関以下での優勝と)また違うもの。経験すれば楽になるでしょう」と横綱経験者でしか味わえない重責を、かみしめるように語っていた。

 

▽幕内後半戦の高田川審判長(元関脇安芸乃島) 玉鷲もいいところを見せた。当たりながらいなして横から攻める。うまくそこまではまったけど、土俵際が甘かった。照ノ富士はまわしを取ったら盤石。