悪夢の3連敗スタートから巻き返し、大関貴景勝(25=常盤山)が3日を残して勝ち越しを決めた。

平幕の宝富士(34=伊勢ケ浜)を、突き押し一辺倒で攻め立て、左からの張り手も交えベテランを押し込むと、一気に押し出した。

先場所は首を痛め途中休場。4度目のかど番で臨みながら、初日から3連敗で暗雲が漂った。それでも気力を振り絞りながらの土俵で巻き返し、6連勝で給金直し。この日の荒々しい相撲に貴景勝の必死を見て取ったのが、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)で「今日は勝たないと、という気持ちが強かった。張り手は、あまりしないんじゃない? 勝ちたい気持ちが強いと、どうしてもこうなる」と推察した。その後は、貴景勝を褒める言葉を並べた。「本人は大丈夫、と言っても首の痛みがあるから体が反応して、体が縮こまってしまうもの。それを振り切って、気持ちを奮い立たせて、よく勝ち越した」。さらに続けて「大変だったと思う。3連敗したら、普通は落ち込む。精神的に気持ちを強く持ってよくやった」と話した。

一方で、大関としての責務にも言及。「これで終わりではなく、大関としての仕事が残る。もうひと踏ん張りしてほしい」と、優勝争いでトップを走る横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)との対戦が残されていることもあり、さらなる奮闘を求めた。