結びの一番で、優勝争いのトップを走る横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、関脇明生(26=立浪)に苦杯をなめた。立ち合いの出足で明生に押し込められ、差された左を小手に巻いて振ったが、右を深く差し込んだ明生に食い付かれた。その右からの下手投げで巨体を大きく振られ、そのまま向正面を割った。

この日は、2敗で追っていた平幕の妙義龍(34=境川)が敗れ、取組前の時点で後続に2差がついていた。だが、明生の休まず攻め続けた相撲で、再び優勝争いは1差で4人が追う混戦に持ち込まれた。

協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「明生の立ち合いが良かった。勝因はそれが一番。押し込んで、その後の流れも差してすぐに投げて動いた」と明生の攻撃相撲を高く評価。一方の照ノ富士については「立ち合いで下がっての引っ張り込みは効かない。出て行っての引っ張り込みや、きめるのはいいが、下がっての強引な投げは余計にいけない」と、照ノ富士の長短が表裏一体の、強引な相撲を敗因として分析した。

気になる優勝争いの行方については「横綱が1つ勝ってる分、有利か」としながら「大関の頑張り次第だろう」と混戦の可能性にも言及していた。