優勝争いを千秋楽まで持ち越した平幕の妙義龍(34=境川)の奮闘ぶりに、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も「大殊勲だね。敢闘」とほめちぎった。

3敗で追う遠藤(30=追手風)、阿武咲(25=阿武松)が次々と敗れ、結び前の土俵に上がった妙義龍。3敗の自身も敗れ、結びの一番で横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が勝てば、千秋楽を待たずに14日目で優勝が決まるという、大事な一番で大関正代(29=時津風)と対戦。立ち合いの鋭い踏み込みから、電光石火の素早さで左の前みつに手がかかると、強烈に引きつけながら一気の寄りで11勝目(3敗)をマーク。この次点で優勝争いを千秋楽まで持ち越した。

報道陣の電話取材に応じた八角理事長は「最高の相撲だね。元気な頃の妙義龍の相撲。馬力もあったし、左の前みつを最高の位置で取った。まあ(正代は立ち合いで)胸を出す相手だから取りやすいけど、馬力があった」と称賛。さらに前みつを引いた後の攻めの早さにも言及し「いい位置で取れても(出なければ)ただ、ぶら下がっているだけになる。タイミングよく出られた」と分析。34歳の年齢に「ベテランの部類に入って、回りが見えている」と円熟さも感じ入ったようだ。

結びの一番を終え、優勝の可能性が残った2人について、八角理事長は「2人ともよくやっている」とした上で再度、妙義龍について千秋楽の結果にかかわらず「今日まで(の活躍)も立派。大殊勲だね。敢闘(している)」と冒頭にある称賛の言葉を並べた。