角界初の東大出身力士、須山(24=木瀬)が人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する人気キャラクター「岸辺露伴」を描いた化粧まわしを借りて、新序出世披露に臨んだ。代表取材に応じ「特段緊張はしませんでした。(新序出世披露を受けて)これから頑張ろうという気持ちになりました」と気持ちを新たにした。

三段目取組の合間に名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)から番付にしこ名が載る新弟子6人が土俵で紹介され、須山は同じ木瀬部屋にいる平幕の志摩ノ海(32)が愛用する化粧まわしを借りて土俵に上がった。ひときわ注目を集めるも、引き締まった表情で全うした。

「きょうの化粧まわしは師匠に言われて締めました。ジョジョは知っていましたけど、あの化粧まわしは知りませんでした」と語る須山は、いざ着用した感想について「重い。単に重量が重い。これでそんきょするのは大変そうだ」と実感を込めた。目指すべき力士像については「速くて力強い力士を目指したい」と語り、「(ともに部屋の兄弟子)速さは美ノ海関、力強さは志摩ノ海関を目指す」と具体的な名前も出した。

今はまだ環境に慣れるのが大変なようで「何よりも早く力士の生活に慣れたい。今は週に1回大学に通って単位の取得と卒論をやっています。ちゃんと卒業して相撲に集中できるよう頑張りたい」と意気込みを見せた。

須山は東大3年だった今年3月に卒業単位取得のめどがつき、4年生での角界入りを決意。学年が上がるにつれてコロナ禍で満足に稽古を積めなかった無念さがプロ入りの原動力となり、「迷いはなかった」と以前から交流のあった木瀬部屋の門をたたいた。

夏場所3日目から前相撲が始まり、前相撲初日師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)から言われた「前に出ろ」との言葉を胸に落ち着いた相撲で白星を重ねた。

3日目には大学選手権団体戦優勝の立役者となった日体大相撲部出身の今関(23=玉ノ井)を下して3連勝。一番出世を決め、名古屋場所は序ノ口で番付にしこ名が載る。

 

◆新序出世披露 新弟子ら番付外力士が取る前相撲の結果によって、土俵上で行司の「出世披露言上」とともに紹介される儀式。新序力士は、親方や同部屋の関取らに借りた化粧まわしを締め、儀式後は相撲協会の各部署にあいさつして回るのが通例。

 

◆須山穂嵩(すやま・ほたか)1997年(平9)9月23日生まれ、埼玉県ふじみ野市出身。埼玉・市浦和高から1年浪人し、慶大に入学。バンドサークルに入る学生生活だったが、2年連続で受験していた東大への思いを捨て切れず、大学1年の冬に3度目の挑戦で合格。東大入学後、相撲部の見学に行ったことでのめり込む。現在は文学部哲学科に在籍。趣味は読書、散歩、キャンプ。180センチ、104キロ。