大相撲名古屋場所で初優勝した小結逸ノ城(29=湊)が7日、埼玉・川口市の部屋で稽古を行い、秋場所(11日初日、東京・両国国技館)に懸ける強い思いを口にした。

5月の夏場所は場所前に新型コロナに感染して休場を余儀なくされるも、平幕として臨んだ7月の名古屋場所で12勝を挙げて初優勝。今場所は昨年11月の九州場所以来、5場所ぶりに三役に復帰した。それだけに「今場所はいつもの場所と違う。優勝した次の場所、三役に戻った場所でもある。しっかり2桁を目指したい。負け越したりして恥ずかしいところは見せられない」と気合十分だ。

その気持ちは、稽古内容にも表れていた。この日の稽古では、幕下以下の若い衆相手に37番連続で相撲を取った。低く激しい立ち合いから圧倒すれば、力強い右四つからの寄り切りや押し出しなどを披露。時間にしておよそ35分間、黙々と相撲をとり続け、体中から大量の汗が流れ出ていた。「まわしを引くように、それを意識していました。後は相手の相撲になっても慌てないように。しっかり踏ん張って残るように」と考えながらの稽古でもあった。

このほど日本相撲協会から発表された身体測定の記録で、関取最重量の212キロを計測した。だが、どっしりとした重さがありつつも、立ち合いのスピードは速くてどこか身軽で、スタミナも十分あると感じさせる稽古内容。「これぐらいでやっていきます」と自身にとってベスト体重のようだ。また、師匠の湊親方(元前頭湊富士)も「(動きが)速くて低く取れている。体重もあるのにスピードあるのはすごい。昔は体重を落とせと言ったこともあるけど、今は動けているからいい」と認めるほどだ。

優勝力士として臨む秋場所だが「緊張はしてない」と重圧は感じていないようだ。先場所後は、これまで以上に多くの関係者から祝福の声を受け取ったという。「応援してくれる皆さんは『優勝してこれからだ』というところがあるので期待に応えたい。しっかり頑張りたいです」と力強く語った。