東十両14枚目の栃武蔵(23=春日野)が、十両デビュー場所で優勝した。東十両3枚目の熱海富士(20=伊勢ケ浜)に押し出されて3敗目を喫したが、自身の前の取組にただ1人4敗で追っていた北青鵬(20=宮城野)が敗れたため、千秋楽の取組を残して優勝が決まった。新十両での優勝は18年九州場所の友風(27=二所ノ関)以来となった。

栃武蔵は「うれしい気持ちと、きょう負けたので反省する気持ちがあります」と複雑な思いを述べた。北青鵬が敗れても気持ちを切らさなかった。「一番に集中しようと思った」というが、勝ち越しまで残り1勝に迫った熱海富士に立ち合いから前に圧力をかけられて先手を許した。会場に駆けつけた家族らの前で白星は飾れず「当たろうと思ったけど、遅れてしまった。どうせなら勝って、優勝を見せたかった」と悔しさを口にした。

埼玉県入間市出身。中学卒業後は春日野親方(元関脇栃乃和歌)の母校の和歌山の箕島高校に進み、その後に中大へ。2年時に学生横綱のタイトルを獲得して、昨年春場所で三段目100枚目格付け出しで初土俵。順調に出世し所要9場所で新十両に昇進した。

今場所は初日から6連勝を飾るなど快進撃を続け、7日目、8日目に連敗を喫するも立て直して白星を積み上げた。師匠や兄弟子から「土俵に上がったら自信を持っていけ」と助言を送られ、立ち合いから前に、前にと自分から出る相撲を貫いた。この日敗れはしたが、来場所でさらに飛躍するため、残り一番は勝って終わらせたい。