大相撲秋場所を新型コロナウイルス感染症の後遺症で休場した十両朝乃若(27=高砂)が、九州場所(11月14日初日、福岡国際センター)に向けて復調の兆しを見せた。12日、都内の部屋で申し合い稽古などを行った。

四股やテッポウなどで体を動かし、大関経験者の幕下朝乃山らとの申し合い稽古では12番取って5勝7敗。「ぼちぼちです。徐々に徐々にという感じです」と稽古内容を振り返った。

秋場所前の8月下旬に、新型コロナの陽性が判明した。せきとのどの痛みが症状として出た日に陽性反応を示し、翌日には39度を超える高熱を発症。「療養期間が1週間だったけど、40度になったり39度になったり」と一時は40度を超える発熱もあったという。

その間、稽古はできず。秋場所初日の9月11日の3日前の同8日に療養期間が終了。秋場所出場を目指したが、やはり体力が戻らず同場所初日に休場を届け出た。

2月に1度感染したが、その時は軽い発熱だけで済んだという。しかし、今回は高熱発症に加え、倦怠(けんたい)感やめまいなどにも襲われた。「結局、場所中も39度近い発熱があったり、ふらつきなどがずっとありました。途中出場も考えたけどダメでした」と場所中も体力は戻らず。「階段の上り下りですぐに息が上がったりと私生活もきつい時期がありました」と明かした。

場所中は毎日、大相撲中継をテレビ観戦した。後遺症での休場は角界初のケースとだけあって、出場できない歯がゆさがあったという。「秋場所12日目、13日目ぐらいにようやく体も戻ってきた。私生活でも支障がなくなってきました」と、場所終盤にようやく少し回復。しかし、場所後に行われた荒汐親方(元前頭蒼国来)と秀ノ山親方(元大関琴奨菊)の断髪式で相撲を取った際に「本場所とは違うけど、やっぱりすぐに息が上がりました。これでは出場してもダメだったなと思いました」と厳しい現実を痛感した。

秋場所終了から約2週間たった10月7日ごろから、相撲を取る稽古を再開したという。「1カ月ぶりぐらいにやっとですね。でも、まだめまいやふらつきは少しあります」と完全回復にはいたっていないが、相撲を取れる稽古ができるぐらいまでは体力が戻ってきた。この日の稽古では、朝乃山の激しい当たりを受けても食い下がったり、足を使って土俵全部をめいいっぱい使った取り口を見せるなど、ハツラツとした姿を見せた。約1カ月後に迫った、今年最後の本場所の九州場所に向けて「まずはしっかり稽古して体調を戻したい。いい相撲が取れるように調整したい」と意気込んだ。