師弟関係に亀裂が入っている逸ノ城(29=湊)について、内情を知る関係者が14日までにインタビューに応じた。これにより、問題の大枠が明らかになった。

現在、逸ノ城のトラブルについて日本相撲協会が調査を進めている。湊部屋関係者は「湊親方たちは、逸ノ城をクビにしたいとかではなく、適切な対応を取るために力を貸してくださいと協会に求めています」と明かした。

逸ノ城は2013年(平成25年)11月に入門し、14年初場所で初土俵を踏んだ。その2、3年後にはすでに酒席でのトラブルが起きた。そのため湊親方(元幕内湊富士)の指導により、1年間は外出を制限した。しかし、解禁2、3週間後には、深酒で朝帰りし、稽古を休んだ。当時、逸ノ城は「自分は自分でコントロールできないから、これまで通りに厳しくしてください」と訴えていたという。

その後、友人らと飲みに行くと酔って問題を起こすこともあったため、おかみさんが同席することもあった。飲まない時もあるが、飲み始めると止まらない。酔うと、おかみさんをたたいたり、あざができるほど強く手を握ったり、物を投げることがあった。外出しない時は部屋で飲み、ビール1ケースは普通で、ウイスキー1、2本を空ける。突き飛ばされたおかみさんが倒れ込んだこともあったという。

アルコール依存の疑いについて、逸ノ城も自覚している可能性がある。しかし、親方らがカウンセリングや治療を勧めても、逸ノ城が応じない。ならば、なぜ飲んでしまうのか? 逸ノ城は「今まで1人暮らしをさせてもらえなかったことが原因。1人暮らしをすれば、自分は飲まないですむ」と訴えた。湊親方は昨年12月、禁酒を誓わせて1人暮らしを許可した。しかし、約束は守れなかった。

今年2月のある日、逸ノ城は稽古に来なかった。ようやく連絡が取れて理由を聞くと、「酔いつぶれて起きられなかった」と言ったという。後日、湊親方は話し合いの場を設けた。すると逸ノ城は「あとは弁護士と話してください」と言って、紙を渡してきた。このころから親方は日本相撲協会に実情を報告し、相談を続けてきた。

仮に依存症だった場合に備え、知人らに相談し、今後の対応も慎重に検討を進めているという。

部屋関係者は「半年以上前から協会に相談している。逸ノ城を裁くのではなく、これをきっかけに自分を見つめ直してほしい」と話している。