大相撲初場所を制した大関貴景勝(26=常盤山)が、横綱昇進への決意を口にした。

13場所ぶり3度目の優勝を飾った千秋楽から一夜明けた23日、都内で会見。高いレベルでの優勝なら昇進の話題が出る可能性があった初場所は3敗で消滅も、優勝で大関の意地を見せ、次につなげた。地元兵庫に近いご当所の春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)で2場所連続の優勝となれば、昇進の可能性はぐっと高まる。

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一夜明けた貴景勝は、早くも次の春場所を見据えていた。初場所は「高いレベルの優勝」とはならず、今場所後の横綱昇進は消滅。しかし、3度目の賜杯を抱いたことで、春場所は綱とりがかかる。「小さいころからの夢」を実現すれば、17年初場所後の稀勢の里以来となる日本出身横綱が誕生する。

兵庫県芦屋市生まれとして大阪の春場所はご当所で、縁起も良い。「関取(十両)に上がるのも、大関に上がるのを決めたのも大阪。今回もいい経験をさせてもらえるように、東京で2月いっぱい頑張っていきたい」と力強く言い切った。

125年ぶりの1横綱1大関だった初場所。横綱照ノ富士が休場した中、ただ1人の大関として臨んだ。11日目から連敗して3敗目を喫し、今場所の綱とりは消えたが、13日目以降は再び白星を積み上げ、千秋楽では琴勝峰との相星決戦を制した。番付最上位としてしっかりと責任を果たした。「自分が転べないというのは場所前から思っていた。結びで取れることをありがたいと思ってやりました。良い緊張感を経験させてもらった」。

今場所は実に5度も取組で、鼻や口から血を流した。闘志むき出しの相撲が持ち味も、ケガとは隣り合わせ。常にぎりぎりの戦いを続けるが、本人は「こういう世界は血が出るのは当たり前なので。自分のスタイルで激しさを失ったら、引退した方がいいと思っている」と迷いはない。

千秋楽の優勝後に支度部屋へ引き揚げると、勝負師からパパの顔に変わった。元大関北天佑の次女、妻の有希奈さんや息子、関係者らと笑みを浮かべながら記念撮影に加わった。「(息子は)まだ話せないですけど、記念にああいうことをすれば自分も力士だったということが残ると思った」。息子にさらなる高みを見せる。その思いは夢への力になるはずだ。【平山連】