大相撲で大関経験者の小結正代(31=時津風)が13日、夏場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けた稽古を打ち上げた。

都内の部屋で、四股などの基礎運動で調整した。この日は師匠の時津風親方(元前頭土佐豊)が、審判部の職務として両国国技館で行われた、本土俵の土俵祭りに出席のため不在。部屋の土俵祭は、部屋頭の正代が、師匠に代わって取り仕切った。若い衆が半笑いで、伝統行事に携わっている姿を見ると「なんで笑っていられるのか分からない。真剣にやれ!」などと、厳しく指導していた。

前日12日の取組編成会議で、正代は初日に横綱照ノ富士、2日目に前頭錦富士との取組となることが決まった。4場所休場していた照ノ富士の最初の相手とあって、注目度も高いが「初日の相手が誰かは見ていません。だいたい予想はついていますけど」と、あえて情報をシャットアウト。特に初日、2日目は、他の日よりも早く、対戦相手が決まるだけに「知ってしまうと、それだけ相手のことを考えてしまう。集中する時間は短い方がいいので」と話した。取組当日に対戦相手が誰かを知るのは仕方ないと考えている様子だが、オンとオフの切り替えを重視しているという。

もともと“ここぞ”の集中力の高さは自負している様子で「暗記力とかは、頑張ればけっこういけます」と語った。例え話として、東農大時代の教育実習を思い出しながら「50分の1回の授業は、指導してくれた先生の授業と同じように、というよりほぼ、そのまま言えましたからね。後からその先生には『パクリすぎ』と言われたほど(笑い)」と、無事に高校の「農業」の教員免許を取得したという。

初日、2日目の取組相手を知らない、この時点では終始落ち着いていた。「調子が良いかどうかは、迎えてみないと分からない。ただ(初場所のころに)痛めていた足の不安も、そんなに気にならずにできるようになってきた」。もともと大関を務めていた実力者で、先場所は2ケタ10勝を挙げて復調気配。心技体の充実ぶりから、初日に照ノ富士を破れば、勢いに乗りそうな雰囲気は十分だ。