宮城野親方(38=元横綱白鵬)が、前頭朝乃山を優勝候補の「イチオシ」として挙げた。両国国技館内の相撲博物館で行われたトークイベントに参加。ファンからの「今、力をつけている力士は?」という質問に「朝乃山」と即答した。続けて「元の番付(大関)に今年中に戻るかは分からないけど、やっぱり型を持っている」と、自身と同じ右四つの相撲を高く評価。その後の報道陣の取材で、優勝候補を問われると「私は朝乃山イチオシですから」と、きっぱりと話した。

宮城野親方が特に朝乃山の取組内容で評価したのは、2日目の妙義龍戦だ。差し手争いを制してねじ込んだ、右腕を返し、相手の上体を起こしてから左上手を取る理想的な内容。この取組について、同親方は「やっぱり(朝乃山は)型があるので、妙義龍は考えていった。逆に考えたことで、妙義龍は相撲が小さくなった、出足が止まった。型がある人のすごみが出た」と絶賛した。

朝乃山は、前日3日目の琴恵光戦が、行司軍配差し違えの末の辛勝だけに苦言も呈した。「上手を取っていれば、昨日(3日目)みたいに土俵際で危なくなることはない」と、期待が大きい分だけ、課題克服を求めた。それでも総じて「イチオシ」だけに、随所に朝乃山への期待を示すような言葉をちりばめた。最後は「今の上位は、万が一にも、朝乃山に優勝を持って行かれるわけにはいかないはず」と語った。朝乃山を起点に、相乗効果でハイレベルな優勝争い、さらには場所の盛り上がりに期待していた。