日本相撲協会は3日、名古屋市内の病院で名古屋場所の新弟子検査を行った。受検者は1人で、ウクライナ出身のダニーロ・ヤブグシシン(19=安治川)が、計測の結果、180センチ、125キロで体格基準(身長167センチ以上、体重67キロ以上)を楽々とパスした。内臓検査もパスすれば、興行ビザの発行を待って、9月の秋場所で前相撲を行う流れとなる。
相撲は7歳から始め、19年には相撲の世界ジュニアで3位に輝いた。もともと相撲界に入りたい夢を持っており、昨年4月に来日。当時の体重は「100キロもなかった」というが、関大相撲部の山中新太さんと同居、アマチュア相撲界で稽古を積みながら増量し、縁あって昨年12月に安治川部屋の門をたたいた。
父セルゲイさん(55)、母スビトラナさん(45)は戦火の母国を離れてドイツで暮らし、ともにクリーニング業に就いているという。出身のビンツニャの大学通う兄ニキタさん(21)だけがウクライナに残っている。「関取になって、おいしいものを食べたい」と、バラバラに過ごす家族を招き、いつか4人で再び食卓を囲むことを夢見ている。
日本語学校にも通っていたため、流ちょうな日本語で「東京に来るまでは大阪だったので、よく『あかん』とか言ってました(笑い)。今は漢字も勉強しています」と、少し得意げな表情で話した。大きな目が特徴的で「誰に似ているとか言われたことはないですけど…。『カッコイイ』とは言われたことがあります」と、照れながらも、またまた少し得意げな表情をつくる、ちゃめっ気をのぞかせた。
憧れの力士は、師匠の安治川親方(元関脇安美錦)や、現在は大けがで休場中の前頭若隆景といった技巧派だ。「頭をつけて、前みつを取って、という相撲を取りたい。四つだと左上手、右四つです」。この日、計測した背筋は215・5キロと、相撲界では、けっして大きくない体だが、秘めたパワーがある。安治川親方も「一生懸命頑張っているし相撲が好き。ようやくスタートラインに立てるので、これまで蓄積したものを発揮してほしい」と、期待していた。

