大関経験者で西前頭2枚目の朝乃山(29=高砂)は、連勝が「3」で止まり、2桁白星の可能性が消滅した。同じく大関経験者で、東前頭3枚の正代に敗れて8勝6敗となった。

この日までに関脇3人全員の勝ち越しが決まり、そろって関脇以上にとどまることが確実となった。逆に小結2人は、東の錦木が9敗目、西の翔猿が8敗目を喫し、そろって来場所は平幕に陥落することが確実。東前頭筆頭で勝ち越しを決めている、北勝富士の三役復帰も確実で、残り1枠を朝乃山よりも半枚上、東前頭2枚目で同じく8勝の阿炎と争う展開となった。千秋楽で阿炎が敗れ、朝乃山が勝てば、来場所の返り三役が濃厚となる。

この日は完敗だった。立ち合いすぐに、もろ差しを許すと、そのまま寄られ、見せ場なく寄り切られた。「(立ち合いの)踏み込み負けですね。左上手が深かった。負けは負けです」と、肩を落とした。それでも気を取り直し、千秋楽に向けて「今日みたいな、ふがいない相撲で終わりたくない。明日、もう1度、切り替えて、白星で終わりたい」と、必死に前を向いた。

前日13日目は、珍しく立ち合いで頭から当たった。その中で「右で突っ張ってくるのが見えた」と、瞬時に左を下からはね上げた。そのまま左で上手を取り、右をおっつけ、御嶽海の上体を起こして寄り切った。取組後は「立ち合いで踏み込み負けしないよう、自分から攻める気持ちでいった。(勝ち越しは)通過点ですので。悔いのないように自分の相撲を取りたい」と、表情を引き締めて話していた。だがこの日、4日ぶりに黒星を喫し、2桁白星の可能性が消滅しただけに、表情を引き締めて花道を引き揚げていた。