新入幕の北の若(八角)が、23歳の誕生日を幕内初白星で祝った。けんか四つの錦富士を突き起こすと左上手を引いて得意の右四つをつくり、休まずに攻め続けた。最後は右のど輪も加えて寄り倒した。場所前から磨いてきた前に出る力を発揮した。「相撲のことに集中しすぎて誕生日のことを忘れてました。思い通りの攻めができた」と喜びをかみしめた。

初めての幕内土俵入りでは、大相撲を題材にした漫画「バチバチ」シリーズ主人公の鮫島鯉太郎がデザインされた化粧まわしを着けた。作者は同じ山形・酒田市出身で18年7月に亡くなった佐藤タカヒロ氏。自身も高校時代にハマって読みふけった作品だった。物語は途中で終わりを迎えたが、場所前に佐藤氏の遺族から「北の若が活躍する姿を通じて物語の続きを描いてほしい」と言われて化粧まわしに採用。「地元の方々のいろんな思いが詰まっている」と期待に応える決意は強い。

幕内初白星にも浮かれる様子はない。「明日も切り替えて、1つでも多く白星をつかめるように頑張りたい」。漫画さながらの鋭い立ち合いで、幕内力士を圧倒していく。【平山連】

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