熱海富士や翠富士の恩師である飛龍高相撲部の栗原大介監督(47)がこのほど、日刊スポーツのインタビューに応じた。母校を全国屈指の強豪校に導いた名将は、今年も3人の教え子を角界に輩出する予定。大相撲の現役力士11人を育てた理念や指導法などを語った。【取材・構成=山口昌久】

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全国選抜大会団体戦で2度の全国優勝、過去には高校横綱も輩出してきた飛龍高相撲部。監督就任25年の指揮官が言葉をつないだ。

-指導で1番大切にしていることは

栗原監督 主体性ですね。自分で考えて自分でやることが1番。それぞれの発想や着眼点を大切に、好きなスタイルで相撲をとることを重視してます。

-その個性を生かすには

栗原監督 とにかく長所を伸ばすこと。粗削りでも得意なことを、やり続けて自信をつけて欲しい。例えば翠富士の場合。高校入学時は55キロ。相手の懐に潜り込む小兵力士のセオリーにとらわれず、子供の頃から身につけたスタイルや「肩透かし」などの技を重視。1番力の発揮できる形を消さないよう心掛けて、指導にあたりました。

-高校時代の熱海富士も教えてください

栗原監督 突出した選手ではなかったが、とにかく稽古好き。私からブレーキをかけて、よく「押し問答」した記憶がありますね。人一倍負けず嫌いだった彼の3年間は、技術よりも気持ちをコントロールし、冷静に相撲と向き合うことを身につけたと思います。

-どんな稽古をしているのですか

栗原監督 基礎中心で、特別なことはしてません。ただ稽古中でも「双方向の会話」は大切にしてます。私も含め生徒同士のアドバイスが飛び交い、結構にぎやかですよ。それと土俵の片隅で「遊び相撲」と称し、新しい技や取り組みのマネを行って、体の使い方など学ぶ場も設けています。リラックスすると意外と覚えるものなんです。

-同校OBの大相撲・現役力士が現在11人。すごいですね。

栗原監督 これは自分1人では出来ないこと。県内各地のクラブ指導者の方が、小さい頃から子供たちを熱心に育ててくれたおかげ。私はその高校3年間を担当しているだけです。「仕上げ」ではなく、次のステージに向けた「つなぐ」ことが役割。バトンリレーですね。県内での相撲の裾野拡大を実感してます。

-最後に。現在、初場所で戦っている教え子に向けて一言を

栗原監督 相撲道は人それぞれ。焦ることなく自信をもって戦って欲しい。私も負けずに頑張ります。

 

◆栗原大介(くりはら・だいすけ)1976年(昭51)9月17日、三島市生まれ。沼津学園高(現飛龍)-東洋大。大学3年時の全日本インカレ団体2位に貢献。卒業後、母校で指導者の道を歩み始める。社会科教諭。身長180センチ、110キロ。血液型O。

 熱海富士を兄に持つ前主将の武井陽奈(3年)は「(栗原)先生のおかげで、自分で考える力がついた。次のステージでも成長していきたい」と感謝。卒業後は強豪・金沢学院大に進学し、競技を続ける予定だ。正月の地元イベントのため、日帰りで帰省した兄とは、すれ違い。前頭筆頭まで番付を上げた初場所の兄に対し「まずは勝ち越して欲しい。頑張って」と、エールを送った。