大相撲春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付が26日、日本相撲協会から発表された。先場所、新十両で優勝の尊富士(たけるふじ、24=伊勢ケ浜)が年6場所制の1958年(昭33)以降最速タイの初土俵から所要9場所での新入幕を果たした。大阪市内で会見に臨んだ尊富士は「記録で満足しているようでは先は見えない」と力強く決意表明した。

大器、そして新たな怪物候補の片りんは言葉の端々に表れた。幕内の地位を「全力士の目標である地位。そこに自分が入るのが不思議な気分だが戦わないといけないんで、しっかりやりたい」と話す一方、スピード出世には「ありがたいことだがこだわりはない。相撲人生は自分の中で挑戦。相撲をやっている間は、自分の人生を相撲にささげたい」と表情を引き締めた。

元横綱旭富士の師匠、伊勢ケ浜親方と地元が同じの津軽力士は肝が据わっている。184センチ、143キロと大きくない体も自覚する。「気持ちで立ち向かいたい。持ち味であるスピード、押し相撲を原点に頑張っていきたい」と力をこめた。

先場所は兄弟子、横綱照ノ富士の優勝パレードで「同乗者」に指名された。「自分でもいつかこの景色を見たいと思った」。その横綱を尊敬し、目標にする。尊富士が幕内の土俵に新風を吹き込む。【実藤健一】

【春場所新番付】尊富士スピード新入幕、王鵬は自己最高位で上位総当たり/幕内十両昇降表