自己最高位、東幕下3枚目の朝白龍(26=高砂)が、7戦全勝で幕下優勝を飾り、来場所の新十両昇進を確実にした。幕内経験者で西幕下40枚目の矢後との全勝対決を快勝。立ち合いから終始前に出て、左下手、右上手を引いて寄り切った。得意の右四つとは逆だったが「寄っていったことしか覚えてないです」と、無我夢中で取っていた。幕下では初優勝。各段優勝としては、初めて番付にしこ名が載った23年春場所の序ノ口に次ぐ、2度目の優勝となり「めちゃくちゃ、うれしいです」と、声を弾ませた。
昨年秋場所後の稽古中、実は左膝後十字靱帯(じんたい)を断裂していた。手術はせず、回復を待ったが違和感を残したまま、半年間ほど過ごした。この日の取組後は「もったいない時間を過ごしたと思いつつ、こうして優勝できて、うれしいですね」と、しみじみと振り返った。左膝に違和感を残したが「後十字は、手術しない方がいいということで」と、稽古では基礎運動を中心に自然治癒を待った。
昨年九州場所、今年初場所こそ3勝4敗と負け越したが、まだ違和感の残っていた春場所を、西幕下15枚目で5勝2敗と勝ち越したのは、実力の証明。その後、左膝が治ると、部屋の幕下同士の申し合いでは、驚異的な20連勝を飾ったこともあった。無傷の連勝が「20」に到達したところで、師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)から「もう、いいよ。休め」と、勝ちすぎて異例のストップがかかっていなければ、さらに連勝を伸ばしていた可能性もあった。同じく左膝をけがしてから、相撲勘が鈍っていた時期とはいえ、大関経験者の朝乃山も、20連勝のうち4度破っていた。
モンゴル出身で、同じ飛行機で来日した横綱豊昇龍、小結欧勝馬と一緒に柏日体高(現日体大柏高)に進んだ。「(2人とは)まだ差があるけど、いつか対戦したい」と、力強く語った。イントネーションやボキャブラリーの豊富さなど、日本語のうまさは、歴代の外国出身力士の中でも屈指。日本のバラエティー番組や、YouTubeを好んで見て爆笑するなど、感覚は日本人と全く変わらない。他にもモンゴル語はもちろん、英語も堪能で、部屋に欧米からの観光客が訪れると、流ちょうな英語で対応し、好評だ。
新十両として臨む来場所に向けては「十両に上がって、それで終わりじゃない。勝ち越して、長く関取としていられるように頑張りたい」と、意気込んだ。同じ高砂部屋の幕下上位には、西筆頭の朝乃山が4勝2敗、東2枚目の石崎が5勝1敗と、好成績を残している。「3人そろって、上がれたらうれしいですね」。日本への愛着も、部屋への愛情も人一倍。気は優しくて力持ちという、力士らしい力士が、来場所の十両土俵を盛り上げることになりそうだ。【高田文太】
◆朝白龍(あさはくりゅう)東幕下3枚目 本名ラグチャー・ジャミントクトホ。モンゴル・ウランバートル出身。23年初場所初土俵。182センチ、145キロ。得意は右四つ、寄り。

