関脇若隆景(30=荒汐)が痛恨の6敗目を喫し、今場所後の大関昇進が絶望的となった。先場所優勝ながら負け越しが決まっていた東前頭5枚目の琴勝峰に敗れて5勝6敗。見せ場なく寄り切られた。横綱、大関の3人と対戦していない段階で、2桁白星の可能性が消滅。1場所15日制となった49年夏場所以降、直前場所で1桁白星に終わって大関に昇進した例はない。慣例に従えば、極めて厳しくなった。

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土俵を割った若隆景は、うつむきながら肩を落として首をひねった。立ち合いすぐに巻き替え、右を差して左上手を引いた。琴勝峰はまわしが遠い。若隆景の勝ちパターンのはずが、胸を合わせた相手の圧力にズルズルと後退。土俵際で残ることもできず、あっさりと土俵を割ると、よろめいた。今場所後の大関昇進が絶望的となる6敗目。「下がってばかりだった」と冷静に語った。2桁白星の可能性が消えたことにも「明日、集中してやります」と、悔しさを押し殺した。

取組前まで1勝4敗と合口の良くない相手だった。それでも取組前に、すでに負け越しが決まっており、元気のない番付下位。大の里&豊昇龍の両横綱、さらには大関琴桜と対戦していない段階で、2桁白星の可能性が消滅した。「また明日、一生懸命、相撲を取りたい」。慣例に従えば、2桁白星に届かずに大関に昇進した例はない。“いちるの望み”は横綱、大関総なめで残る4番を全勝しかない。その上で昇進を預かる審判部の判断を待つだけだけに、必死に前を向いた。

小結の夏場所で12勝、関脇の名古屋場所で10勝を挙げた。大関昇進目安は「三役で3場所33勝」。残り全て勝っても31勝止まりとなる。八角理事長(元横綱北勝海)は「勢いがある時だけ勝つのでは駄目だ。(昇進には)ちょっと早かったということじゃないか」と厳しい評価を下した。若隆景は「集中して自分の相撲を取りたい」と、必死に自らに言い聞かせた。昇進は絶望的な状況でも、大関とり継続の意味でも、残り全勝を目指す。【高田文太】

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