AKB48グループを取材していると、メンバーが卒業を決意したときに雰囲気で察知できる場合が多い。公演中に「心ここにあらず」な言動をしてみたり、将来の夢や目標についての質問をかわすようになったりするからだ。ところが、このメンバーだけはまったく見抜くことができなかった。

 SKE48大矢真那(26)が、26日の公演で卒業を発表した。最新シングルに初のソロ曲が収録されると発表した後、「そして、これが私の卒業曲になります。私、大矢真那はSKE48を卒業します」と電撃的に明かした。完全にやられた。かねて「30歳までアイドルやります」と宣言していたこともあり、変な安心感、というか油断もあった。関係者によると、実は3年ほど前から既に卒業を考えていたようで、総選挙でファンと頑張るために卒業を延ばし延ばしにしてきたという。

 あらゆる意味で、つかみどころが難しいメンバーだ。どんなにまじめな質問をしても、かなりの割合でジョークが返ってくる。それも、本人は笑わせるつもりがあるわけではなく、天然な受け答えなのだから恐れ入る。逆に、こちらのジョークに大まじめで答えてくることもあった。

 大矢は卒業発表について「アイドルをやってるうちは、不安にさせて応援させるのは悪いと思って、ウソついちゃいました」と笑ってファンに謝った。過去にSKE48でメンバーの卒業発表が相次いだ時、ある公演の冒頭でこう言ったことがあった。「今日は卒業発表はありませ~ん!」。その瞬間、客席からはひときわ大きな拍手が起きた。当時、不安におののきながら劇場へ足を運ぶファンが、どれだけいただろう。ファンの心を一番に心配し、傷つけたくなかったからこその言葉だった。そういう人柄だから、自らの卒業をちらつかせたくなかったのだろう。

 17日の選抜総選挙で、NMB48須藤凜々花が突然の結婚を表明した。この騒動については賛否はあるものの、恋愛禁止という暗黙のルールを守っていると信じて応援していたファンだけでなく、卒業することで今後2度と「アイドル須藤凜々花」を応援できなくなるファンも失望させたことは事実だ。こんな「隠しごと」があった後だから、大矢の「優しい隠しごと」が、なおさら心に染みる。

 もちろん、現時点で大矢に結婚の予定はないので、ファンの皆さんはご安心を。ちなみにご本人、結婚観についてかつてこう語っていました。「白馬の王子様に迎えに来てもらいます。結婚式では、歩行者天国で私を馬に乗せて、大名行列みたいに歩きたいです」。我こそはという方は、現れるのでしょうか…?