SKE48松井珠理奈(24)と高柳明音(29)の卒業コンサートが10、11日に愛知・日本ガイシホールで開催された。グループを中心で支えてきた2人の晴れ舞台は、両極端な内容で、それぞれのグループ愛を示した。

これまでの48グループの「卒業コンサート」を振り返ると、全体の構成が通常のライブに主役(卒業メンバー)の見せ場を多く作るパターンや、主役が全曲に出演するパターンなど、大まかにいくつかのパターンに分類される。10日の高柳は全曲に出演した。その中で、各期のメンバーで披露する楽曲に、高柳も参加するという形が目立った。その狙いについて高柳は「私(2期生)も、現役メンバーが数人になってから、同期の大切さをかみしめました。普段、各期ごとで活動することもそこまで多くはないので、期によってはあえてダンス曲をやってもらったり、リハーサルからそれぞれに取り組んでもらいました。絆が深まったと言ってくれたメンバーもいました」と明かした。

それぞれが披露する曲に高柳からのメッセージを入れ込みつつ、仲間の絆をより深める演出をすることで、グループとしての今後を託しているように見えた。

一方、11日に昼夜の2公演を行った珠理奈は、ライブ自体のプロデュース色を強める演出を中心にした。昼公演の中盤では、ソロコーナーを設けて、若手メンバーにスポットライトを当てた。しかも、披露した曲は前田敦子や大島優子ら、AKB48の“レジェンド”たちのソロ曲やセンター曲を与えた。珠理奈は「ソロで歌うことを経験してもらって、成長してもらいたいと思って、あのような構成にしました。私はAKBとしてやってきた時間も長いので、黄金世代の人たちの曲も入れて、懐かしいと思ってもらえたり、喜んでもらえたらと思いました」とその意図を明かした。

板野友美に憧れて48グループが好きになったという井上瑠夏(19)は、板野のソロデビュー曲「Dear J」を歌うなど、個性を引き出すことで、グループの個の将来に、より光を当てた。

ともにコロナの影響で、当初予定していた時期から延期した形での開催となり、グループにとっても久しぶりの有観客ライブでもあった。ABEMAでの有料生配信もあり、高柳も珠理奈も、もちろん自分たちの見せ場も作りながらも、それ以上に全体、未来にメッセージを込めていた。その姿に、トップランナーとしての心意気と、グループへの愛を深く感じた。【大友陽平】