第23回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)の授賞式が28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われ、映画「十三人の刺客」で悪役を好演したSMAPの稲垣吾郎(37)が助演男優賞、同作の三池崇史監督(50)が監督賞を受賞。

 助演男優賞を受賞した稲垣に対し、同じSMAPの香取慎吾(33)が手荒く祝福した。「彼は芝居をしてません。地を出さないとできない。性格はいい方じゃない。ちょっと嫌なヤツで。僕が小学生のころから知っていますが、こういった賞をいただくのは初めてでしょうから、本当に喜んでいます。そうじゃないと、嫌なヤツで終わっちゃいますから!」。

 ジャニーズ事務所入所日が同じ。付き合いは20年以上にわたる。「僕の気持ちを代弁して言ってくれた。一番気持ちを分かってくれている。一番喜んでくれているのはメンバーなのかも」。稲垣は香取ならではの祝福に感激した。

 「十三人の刺客」での冷徹な暴君ぶりは、三池監督も香取も「地が出ていた」と声をそろえた。稲垣は「みんながみんな、失礼ですよねー」と苦笑いしながらも「『地が出ている』って、一番の褒め言葉ですよ」と胸を張った。

 「この作品で、ようやくナチュラルな力の抜け具合が分かってきました。隠しているような非日常的な部分を出せるのがこの仕事だけに、役者冥利(みょうり)に尽きます。もう少しだけ悪役をやりたいですね」。

 香取は作品で発揮された稲垣の“地”について「冷静だったり、一歩俯瞰(ふかん)でいたり、群れなかったり、ちょっと違う目線でいるようなところが、うまくギュッと詰め込まれていた」と語ったが、この日の稲垣もその分析通り。「監督賞でも慎吾が登壇していましたが、ステージに立つと、彼はやっぱり華がありますよね。新しい発見でしたね」。悪役という新境地につなげた自然体で、“地”を発揮した。【近藤由美子】