スパイダーマンを巡るキャラクターの1人にスポットを当てた「マダム・ウェブ」が23日公開された。

マーベル・コミックのサイトでこのキャラクターを検索すると、知性が5点満点となっている他は、耐久性、エネルギー、戦闘スキル、速度、強度はすべて1点という特異な存在と定義されている。

原作コミックでは老境に達した状態で登場し、この知性と「未来予知」を武器にスパイダーマンを助ける存在だという。

映画は若き日のマダム・ウェブが能力に目覚める物語で、いわばスパイダーマン前史として、そのルーツを掘り起こすミステリータッチの展開となっている。

舞台はニューヨーク。救急救命士として働くキャシー・ウェブ(ダコタ・ジョンソン)は、文字通り命懸けで救命活動を行っている。そのさなかに大事故に巻き込まれ、九死に一生を得た彼女は不思議な既視感を覚えるようになる。未来予知能力の開花だった。

そして、偶然に出会った3人の少女たちが、黒いマスクの男に殺される悪夢のようなビジョンを見るようになる。少女たちを守る使命感に駆られたキャシーは何度も彼女たちを窮地から救うが、男は執拗(しつよう)に追ってくる。なぜなのか。男には、研究者として幻のクモを追い求めてアマゾンの奥地で亡くなったキャシーの母親との因縁もあって…。

それこそスパイダーマンのような身体能力を持った黒マスクの男(タハール・ラヒム)に対し、キャシーが使い慣れない予知能力だけで闘うところがミソで、さらには扱いづらい個性派ぞろいの3人の少女を説得しつつという難題も加わる。5点満点の知性全開の闘いぶりが、スーパーパワーにものを言わせたこれまでのマーベル作品とは趣が違う。

「悪霊館」(18年)のシドニー・スウィーニー、「トランスフォーマー 最後の騎士道」(17年)のイザベラ・メルセド、「ゴーストバスターズ アフターライフ」(20年)のセレステ・オコナーと伸び盛りがそろった3人の少女は、未来の「変身姿」がイメージ風に挿入され、シリーズ次回作への期待も膨らむ。

回想シーンで登場するアマゾン奥地の描写にも凝っていて、クモがもたらすシリーズの原点がしっかり印象づけられる。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)