卓越した演技力で、「健太君」として、視聴者を魅了している。

俳優細田佳央太(かなた・19)。TBS系日曜劇場「ドラゴン桜」(日曜午後9時)に、東大合格を目指す生徒役として出演している。このほど、日刊スポーツのインタビューに応じた。

いよいよ物語が今日27日、完結する。細田は、とある問題を抱え周囲から孤立しているものの、昆虫が大好きな心優しき生徒・原健太を演じている。出演が決定した時の心境を「すごくうれしかったですし、ちょっと安心感がありました。オーディションの日から、結果が分かるまで結構、日にちが空いていたんです。オーディションでは、なんか後悔が残るというか、もっとできたんじゃないかというモヤモヤがあったので、『あっ、良かった』とホッとしました」。

前作は05年で、当時は3歳だった。中学生の時に再放送で見たというが、印象は「髪も派手で、アクセサリーもついているし、怖い人が沢山いるという恐怖でしたね(笑い)」。

健太は「身だしなみに興味がない子」。監督と話し合い、体重を13キロ増量し、髪も短くカットした。健太は発達障がいの男子高生だが、役作りにあたり、発達障がいという事実と、健太という人となりを分けて考えた。「発達障がいの部分は、僕自身が本当に丁寧に向き合って、いろいろ動画や本で、どういう所作、話し方、歩き方をするのかを調べました。そういう動作の面は、すごく難しいんだろうなって思ったんですけど、健太自身は、そんなに複雑ではなくて。優しくて純粋で、虫や麻里ちゃんが大好きで。そんなに健太のことについて、大きく悩んだりはしませんでしたね」。

そんな細田は、健太と大きく異なる点が一つある。健太は虫が大好きだが、細田は「めちゃくちゃ虫が苦手なんです!」。「飛んでいるハエとか、アリでも、本当にダメなんです。でも、健太としてカメラが回った時だけは、意外と触れて、安心するんです。健太にとってその虫は、大切なものではあるので。健太としては大好きですけど、僕は今でも全然苦手です。プライベートでは、なるべく触りたくないです」と笑った。

ドラマでは、圧巻の演技で、視聴者を魅了している。健太にスポットが当たった第5話では、放送後に「健太君」がツイッターでトレンド入りした。「もちろんうれしいです。でも、そんなに意識はしていないです。というのも、スタッフさんやキャストさんに全部支えられて、いただけた評価だと思うので、みなさんのおかげで、視聴者の方にほめていただいたっていう流れだけだと思います」とおごらない。

現場では、志田彩良(小杉麻里役)鈴鹿央士(藤井遼役)と、楽屋が一緒になることが多く、切磋琢磨(せっさたくま)する仲だ。日刊スポーツのインタビューで、志田が細田の演技に悔しい思いをしたと話した事を伝えると「あの子もあの子ですよ!!(笑い)。そういうこと言っていますけど、(健太にスポットが当たった)5話ができた時に、プロデューサーさんに『麻里ちゃんよかったよー。健太の回のはずなんだけど、あれっ?』って僕もいる場で言われました(笑い)。『うそでしょ!結構、自分でも頑張ったのに!』って、思うんですけど、そう言われたのは、味方がいるようでいないという感じですよね(笑い)。でも、本当に演技もすてきで、感化されています」と話した。

一方の鈴鹿とは、将来、細田が監督として、一緒に映画を作りたいという夢も持つ。「(鈴鹿が出演した)『蜜蜂と遠雷』を見て、この子、絶対にうそをつかないなって思ったんです。作品からそう思うことが初めてで、今も信頼しています」と人柄も絶賛する。

健太と同じく、話している細田からも優しさが伝わってくる。そんな細田が芸能界を目指したのは、小学生のころ。「小さいころから、ゲームが好きでした。CMを見て、テレビの中に入ったら、ゲームができるんだって思って、母にテレビの中に入りたいっていったのがきっかけです」と、小学二年生で芸能活動を開始した契機を話した。

19年の映画「町田くんの世界」では、1000人超えのオーディションを勝ち抜き初主演を果たす。これまでについて「順調だとは思っていないですね。ただ、運とか、人との巡り合わせはすごい恵まれているなと感じますね」。

大切にしていることは「どんな役、どんなことにも一生懸命やること」。「ドラゴン桜」を例に挙げ「東大模試の受験票の写真は、クランクインの日に撮ったんですけど、今見ると『全然、健太じゃないな』って思うんです。それは、毎話毎話、現場で過ごすことで、研ぎ澄まされていくことなので、仕方ないとは思います。ただ、振り返ると『もっとできたかもしれない』って。なので『あの時、やっておけば良かった』という後悔はしないように、丁寧に一生懸命向き合うようにしています」と、きっぱり。

今後については「ずっと変わっていないんですけど、ちょっとサイコパスな常人じゃない役をやりたいと思っています。狂気の方の怖さじゃなくて、この人の過去、何があったんだろうと知りたくなってしまうような役を演じてみたいです」と意欲を示した。

「佳央太」という名前は、17画。母が命名した、芸能に縁がある画数の名前だ。母は芸能関係の仕事に就いておらず、細田は「なんの流れかこの世界に入っていて、不思議ですよね」と笑う。俳優になるべくしてなった男の、今後の活動に注目だ。  【佐藤勝亮】

◆細田佳央太(ほそだ・かなた)2001年(平13)12月12日、東京都生まれ。14年に映画「もういちど」でデビュー。19年の映画「町田くんの世界」で、初主演。今年も映画「花束みたいな恋をした」「子供はわかってあげない」などに出演。TBS系「ラヴィット!」の6~7月、水曜レギュラー。趣味はカメラ、特技はバスケットボール。血液型A。