SFアドベンチャー映画「レディ・プレイヤー1」が公開中のスティーブン・スピルバーグ監督が、監督として史上初めて総興行収入100億ドルの大台を超える偉業を成し遂げました。

 2045年の近未来を舞台に、17歳の青年がVRワールド「オアシス」の中で知り合った仲間と共にオアシスに隠された宝の争奪戦を繰り広げるエンターテインメント作「レディ・プレイヤー1」は、公開4週で全世界で5億2158万ドルの興行収入を記録。その好スタートを受けて、2位のピーター・ジャクソン監督の65億ドルを大きく引き離し、100億ドルを超えた初めての映画監督となりました。

 「E.T.」(82年)や「インディ・ジョーンズ」シリーズなどの娯楽大作からアカデミー賞監督賞に輝いた「シンドラーのリスト」(93年)や「プライベート・ライアン」(98年)、今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされた「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」などシリアスな作品まで幅広い作品を世に送り出しているスピルバーグ監督は、まだ無名だった25歳の時に手掛けたテレビ映画「激突!」(72年)が高く評価され、一躍その名を知られることとなります。1975年に公開された「ジョーズ」を大ヒットさせてハリウッドの一流監督の仲間入りを果たして以降も、数々の大ヒット作を世に送り出してきました。約45年間にわたって第一線で娯楽作と社会派ドラマをバランスよく製作してきたスピルバーグ監督は71歳になった現在も意欲的に作品作りを行っており、今後も2020年夏に公開を予定している「インディ・ジョーンズ」シリーズ第5弾や「ウエストサイド物語」のリメーク版などの製作を控えています。

 そんなスピルバーグ監督作品の世界興行ベスト5は以下の通り。

 (1)「ジュラシック・パーク」(93年) 9億8380万ドル

 (2)「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」(08年) 7億8660万ドル

 (3)「E.T.」 7億1700万ドル

 (4)「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(97年) 6億1860万ドル

 (5)「宇宙戦争」(2005年) 5億9170万ドル

 そして、現在公開中のアーネスト・クライン原作の大人気SF小説「ゲームウォーズ」を映画化した最新作「レディ・プレイヤー1」が、早くも6位にランクインしています。この勢いでベスト5入りすることは確実視されている本作の魅力は、なんといっても映画や音楽など80年代の文化へのオマージュです。オアシスの世界では、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズに登場するデロリアンなど80年代のポップカルチャーのキャラクターやアイテムが随所に盛り込まれているほか、「機動戦士ガンダム」など日本のアニメや漫画も登場し、往年のファンを存分に楽しませてくれます。「E.T.」、「カラーパープル」(85年)、「太陽の帝国」(87年)、「インディ・ジョーンズ」シリーズなど80年代のスピルバーグ作品の楽しさを再び体感しながら、仮想現実の世界の中で懐かしい作品の断片を探す楽しみもあります。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)