「スター・ウォーズ」シリーズ初の実写ドラマ「マンダロリアン」に登場して一世を風靡したキャラクター、ベビーヨーダこと「グローグー」に、パクリ疑惑が浮上して話題になっています。

ヨーダの赤ちゃんの頃にも見えるベビーヨーダは、2019年に登場するや否や赤ちゃんのような声やしぐさが「スター・ウォーズ」史上最高に可愛いと話題になり、一躍人気キャラクーとなりました。ぬいぐるみなど様々なグッズも発売されて人気のベビーヨーダですが、1984年に公開されたSFブラックコメディ「グレムリン」に登場するキャラクター「ギズモ」のパクリだと監督がメディアに告発したのです。

「グレムリン」はクリスマスプレゼントとして父親が息子に贈った謎の生き物モグアイの飼育方法を巡る騒動を描いた作品ですが、ギズモと名付けられたモグアイは、大きな目と耳を持つフサフサの動物で、確かにベビーヨーダに似ています。ともに体に不釣り合いな大きな耳が特徴的で、以前からファンの間でも「似ている」との声はあがっていましたが、このほど「グレムリン」でメガホンを取ったジョー・ダンテ監督が、「盗作だ」と米紙で訴えたのです。

「グレムリン」は、1990年には続編「グレムリン2新・種・誕・生」も公開されており、ギズモのキャラクターグッズも販売されるなど、公開から40年近くたった今も高い人気を誇っています。

ダンテ監督はそんなギズモの魅力について、サンフランシスコ・クロニクル紙のインタビューで「(映画が)長寿である秘訣は、本質的に赤ん坊のようなこのキャラクターの重要性につきる」とコメント。しかしその後は、「ベビーヨーダについて語らないわけにはいかない」と話し、「完全に盗まれ、コピーされた。恥知らず」などと述べ、ベビーヨーダはギズモの盗作だと批判を展開したのです。

この件に関して、配信するディズニーや製作総指揮を手がけるジョン・ファブロー監督からコメントは出されていませんが、「マンダロリアン」の制作陣は昨年のインタビューで、ベビーヨーダについて「E.T.」(1982年)や「ペーパー・ムーン」(1973年)からインスピレーションを得たと述べており、ギズモの名前は出ていませんでした。

ギズモの前日譚アニメシリーズ「グレムリン:モグワイの秘密」が、今年HBO MAXで配信が予定されていることもあってダンテ監督の発言に注目が集まっており、今後このパクリ騒動がどのような展開を見せるのか気になるところです。皮肉にも「マンダロリアン」でフェネック・シャンド役を演じるミンナ・ウェンが「グレムリン:モグワイの秘密」で主人公の声を務めていることも話題になっており、改めてベビーヨーダとギズモの類似点が脚光を浴びることになりそうです。ちなみに、ベビーヨーダが登場する「マンダロリアン」のシーズン3は2023年の配信を予定しており、今後ディズニー側が反論をするのかどうかも含め、騒動の結末を見守っていきたいと思います。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)