新生パルコ劇場のオープニングシリーズ作品の会見が先日、同劇場で行われ、渡辺謙、天海祐希、古田新太、生瀬勝久、大泉洋、市川猿之助、三谷幸喜氏、宮藤官九郎氏らが出席した。

パルコ劇場は1973年に「西武劇場」としてオープン。客席数は450ほどの中劇場で、木の実ナナと細川俊之の「ショーガール」などで大人の観客を集める一方、テレビでブームとなる前の美輪明宏主演「毛皮のマリー」「愛の讃歌」を上演し、「真夜中のパーティ」「ベント」「トーチソング・トリロジー」のゲイ3部作、ニール・サイモン作「「ブライトン・ビーチ回顧録」「ビロクシー・ブルース」「ブロードウェイ・バウンド」の青春3部作などの話題作があった。85年に「パルコ劇場」と改称した後も、朗読劇「ラヴ・レターズ」が90年からスタートし、現在まで続くレパートリーになっている。

そんなパルコ劇場だけに、オープニングを飾る作品も多彩だ。3月は渡辺謙主演「ピサロ」、5月は佐々木蔵之介主演「佐渡島他吉の生涯」、6月から8月にかけては大泉洋主演「大地」など三谷氏の3作品、10月は宮藤官九郎作、生瀬勝久、古田新太、池田成志主演「獣道一直線!!!」、来年1・2月は市川猿之助主演「薮原検校」、3・4月は天海祐希主演「レディ・マクベス」、4・5月は中井貴一主演「月とシネマ」を予定している。

それぞれ、パルコ劇場に縁が深く、渡辺は「西武劇場時代から出ていて、ここは演劇人生のエポックになった劇場。舞台に立ってみると、パルコが戻ってきたと、緊張と喜びがある。客席のイスにまで命を吹き込んでいきたい」、天海も「宝塚を退団して初めて舞台に立ったのが、ここでした。21年ぶりの出演ですが、私のターニングポイントになると思います」と話した。

1年を超えるシリーズだけに、上演月によっては不満もあるようで、三谷氏は「東京五輪と丸かぶりですが、スポーツに興味のない方は来てください」と話しつつ、五輪への対抗策を聞かれると「出演者に聖火ランナーをやるヤツがいる。裏切りやがって許せない」と言えば、2月に公演を行う猿之助は「2月は観客が入らないと言われる月。半分しか入らない客席で無事過ごせるか心配です」。

パルコ劇場から多くの名作舞台が生まれたが、このシリーズから後に残る作品が生まれるのか。パルコ劇場の新たな歴史が始まる。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)