1973年に旗揚げし、53年の歴史を持つ劇団「東京ヴォ-ドヴィルショー」が5月末をもって解散することになりました。劇団代表の佐藤B作さん(77)が発表したもので、解散の理由については「諸事情により」と明かすだけでした。

今年初め、B作さんにインタビューした時、劇団活動を続けることの難しさを話してくれました。昨年10月、B作さんが演出・主演した「狐と南吉」がヴォードヴィルショー公演として上演されました。29歳の若さで亡くなった「ごんぎつね」などで知られる童話作家新美南吉の半生を描いた作品で、B作さんが長年温めていた題材でした。

ようやく上演できた達成感を話す一方で、「今は舞台を上演するにも、お金がかかりすぎる。経費が何もかも上がっている」とこぼしていたのが印象的でした。それから4か月後に届いたのが「解散」という悲報でした。

ヴォードヴィルショーは「笑い」に特化した珍しい劇団でした。旗揚げ時の宣伝コピーは「エログロナンセンス、笑いのパンチが飛ぶ」で、誰にでも分かる軽演劇(ヴォ-ドヴィル)を目指しました。3年後に旗揚げした柄本明の「東京乾電池」とともに、若者たちの支持を集め、テレビにも進出しました。90年代に劇団として停滞していた時に出会ったのが、若手作家だった三谷幸喜さんでした。三谷さんが書き下ろした「アパッチ砦の攻防」や「その場しのぎの男たち」は笑いが満載の舞台で、その後のヴォードヴィルショーの代表作となりました。

ヴォードヴィルショーは53年の歴史に幕を閉じますが、B作さんの俳優としての活動は続きます。5月30日に初日を迎える「十二人の怒れる男たち」に出演します。劇団代表の肩書がとれ、一人の俳優として再出発するB作さんの舞台を見に行こうと思っています。【林尚之】