先日午後、本社近くの路上を歩行していたところ、背後から突然、「すいません!」と声を掛けられた。

道を聞かれるのか、何らかの因縁をつけられるのか、はたまた宗教的団体の勧誘なのか、などと考えつつ振り向くと、台車を押している若い女性だった。

「はい?」と返事をするとその女性、「お菓子はいかがでしょうか?」と言ってきたのだ。台車の上にはもち系の和菓子や洋菓子などが多数詰め込まれた箱が、いくつも積まれていた。

過去に路上で、似たようなシチュエーションで野菜や果物の購入を持ち掛けられたことはあったが、菓子を売りつけられたことは初めて。

その女性は胸に、区が発行した行商の許可証のようなものと、自身の氏名が書かれた札を下げ「どうでしょうか?」と熱心に菓子購入をすすめてきた。

日ごろこの種のナッツ類をあまり買わないため670円という価格が高いか安いかよく分からないまま購入
日ごろこの種のナッツ類をあまり買わないため670円という価格が高いか安いかよく分からないまま購入

いったいなぜ、このような方法で菓子を売っているのか? 聞くとその女性は、商社のような会社に所属。この珍しい販売形態について、筆者が「研修や自己啓発の一種のような感じなのですか?」と聞くと、「まあ、そんな感じです」と言うだけで、あまりはっきりとは説明してくれなかったが、単純な収益追求の販売目的はもちろん、路上で見知らぬ歩行者に声掛けして菓子を買ってもらう…という手法をとることで、若い人材の研修的な目的も含まれているのではないかと勝手に推測した。

そもそも、このようなやり方で、どのくらいの人が菓子を買ってくれるのか。この女性に聞くと「だいたい、1日300人くらいに声をかけて、30人くらいが買ってくれる感じです」とのこと。1日あたりの売り上げは「私の場合、だいたい3万円くらいでしょうか」という。

当日誌での「路上で突然、知らない人に声を掛けられた系」ものは、18年10月の「路上ですれ違った女性から突然『集団ストーカー』の危険性を呼び掛ける内容のチラシを受け取った話」、同月の「路上ゲリラ名刺交換要求男出現ネタ」などが過去にあったと記憶しているが、何だかんだ言って今回、その菓子売り女性から結局、キャラメル味のナッツ(670円)を買ってしまった。

領収書も発行されたのだが、ナッツはなんとなく、まだ開封できていない。

【文化社会部・Hデスク】