誰しも自分の恋愛に疑問や背徳感を抱いたことがあるだろう。これは正しい道なのか? このまま幸せになれるのか? そのたびに救ってくれたのは、一緒にご飯を食べてお酒を飲んで、話を聞いてくれる友人ではなかったか。

劇中に登場する女性は8人。それぞれに抱える恋愛事情は混み合っている。好いてくれる男性への気持ちが分からなくなってきた女性。別れた夫を追いかけてしまう女性。その気はないのにワンナイトばかり繰り返してしまう女性。久しぶりの恋の予感に動揺を隠せない女性…。

8者8様、それぞれ悩んでいるけれど、彼女たちはどこか幸せそうだ。おいしいご飯を囲むように集まって、一緒にお酒を飲んで、泣いて笑って、毒を吐き合って。立ち止まりながらも前に進んでいく姿に、こちらも背中を押されているような気分になった。

どんな恋愛をしていたって、それは自分の人生なんだ。迷える女性たちを優しく肯定してくれる主人公のトン子(小泉今日子)に、不思議な包容力を感じた。「おいしいご飯を食べると、誰かを愛する気力が湧いてくる」-。恋って案外、そんなものかもしれない。【杉山理紗】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)