地方都市に強い地盤を持つ国会議員が病に倒れたことが物語の発端。秘書の谷村勉(窪田正孝)は、後継者として担がれた娘の川島ゆみ(宮沢りえ)の補佐につく。秘書の視点から選挙戦を描いた作品。

宮沢の緩急ある表現にはワクワクした。ゆみはなぜか熱意があり、デリカシーには大いに疑問符が付き、会見では各々(おのおの)を「かくかく」と言い続けるヒヤヒヤぶり。汚い言葉でののしり、プライドは山のように高い。実際にあった政治家たちのスキャンダルエッセンスを抽出したような新人候補を、宮沢が生き生きと演じた。

冒頭からくせが強すぎるゆみだが、分からないなりに自分の言葉で語りはじめるとストーリーが大きく動きだす。宮沢の演技もより一層生き生きとしてくる。楽しんで演じているのがよく分かる。

ユーモアと皮肉がたっぷりの中、窪田演じる秘書谷村が1歩踏み出す物語でもあるのが気持ちいい。

最初の脚本ができたのは5年以上前だそう。その後も取材を重ね、政治の世界を参考にキャラクターが肉付けされ彩られていった。政治家って、選挙の裏側っておもしろい。【小林千穂】

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