映写機で古いフィルムを回しているような少しザラついた画質、音声に混じるチリチリというノイズ。オープニングからなんだか、懐かしい気分になった。

1970年、米ボストン近郊の全寮制の名門校バートン校が舞台。ほとんどの生徒や教師たちがクリスマス休暇で帰郷する中、それぞれの事情で学校に居残った3人の男女を描く。

髪の毛が薄く、斜視、小太り、生真面目で融通が利かないその性格から、同僚にも生徒にも嫌われている古代史の教師、ハナム(ポール・ジアマッティ)は、家に帰れない生徒の“子守役”を押し付けられる。名優ポール・ジアマッティのいや~な教師役はハマリ役。最高に嫌みったらしい快演からは、孤独がにじみ出る。ラストは「金八先生」にも負けない生徒への情熱をほとばさせる。

反抗的な生徒、アンガス(ドミニク・セッサ)の名演も光る。1人息子をベトナム戦争で亡くした寮の料理長、メアリー(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)。懐の深い演技で米アカデミー賞助演女優賞を受賞。派手な展開はないが、3人が一緒に過ごし、大切な存在になっていく心の移ろいに、じんときた。【松浦隆司】

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