「ポーの一族」新人公演は、4年目の聖乃(せいの)あすかが初主演に抜てきされた。気品のある顔立ち、すらりとした立ち姿で、将来を期待されるスター候補生は「引っ張っていかなければ」と奮い立つ。宝塚大劇場は来年1月23日、東京宝塚劇場は同3月1日。

 「この間(同期の)極美(慎=きわみ・しん)が主演をし、私も頑張ろうと思っていました。負けず嫌いで(笑い)」

 100期入団。同期の星組・極美慎が9月、「ベルリン、わが愛」新人公演で初主演した。極美とは宝塚音楽学校時代から同室で、夢を語り合ってきた。

 「本科生、劇団に入ってから、2度同室になって。お互いに情報を交換し、アドバイスももらっていた」

 小学2年で習い始めたダンスの講師が宝塚OG。元花組トップ真飛聖にあこがれて受験。経験値を増やそうと、モデルの仕事もし、一発で合格した。

 「初舞台公演に各組のトップさんが出演され、近くで拝見できた。研2(2年目)の時(後輩の初舞台を見て)あれは(100周年の)特別な経験だったんだと気づきました」

 組回りも花組で、明日海のお披露目「エリザベート」に出演。配属後は台湾公演「ベルサイユのばら」、昨年は「ミー・アンド・マイ・ガール」と、まだ4年目ながら劇団代表作への出演機会に恵まれている。

 「ダンスは大好きで、お芝居でも、普段は絶対にしないことをする悪役がやりたくて、前回(邪馬台国の風新人公演)は悪役も経験できました」

 得意のダンスに芝居も磨き、現在は感情を乗せた歌唱に取り組む。明日海の歌から、勉強を重ねる。

 「できなかったことができるようになるのがうれしい。休みの日はできる限り劇団レッスンに行きます」

 その地道な修練こそが、好機を引き寄せる源だ。

 「入団当初は、中性的な男役になれたら…って、思っていましたが、花組に配属になって、男役らしい男役にもなりたいと。花組の男役である誇りを持って、ノーブルかつ、芯に熱さを持って内面も成長したい」

 ☆聖乃(せいの)あすか 1月19日、横浜市生まれ。14年3月、100期入団。初舞台後の組回りで「エリザベート」出演。15年2月に花組配属。同年夏の台湾公演「ベルサイユのばら」に参加。今秋、柚香光(ゆずか・れい)主演の「はいからさんが通る」では主要キャストの藤枝蘭丸役に抜てき。身長170センチ。愛称「ほのか」「あすか」。