10月クールのドラマが出そろう。そこでいくつか作品を紹介したい。まずは月9(フジテレビ系月曜午後9時枠)「PICU 小児救急治療室」、吉沢亮が大河ドラマ以来の連ドラ出演となり、さらには月9初主演。フジ安定の医療ものかつ、人気ドラマ「監察医 朝顔」のスタッフが集結するとのことで大いに期待が持てる。

2本目は、日曜劇場(TBS系日曜午後9時枠)の「アトムの童」、こちらは山崎賢人が久々の民放ドラマでの主演。香川照之が降板し、放送前から何かと話題になっているが、現代のゲーム業界が舞台ということもあり、どのように描くのか楽しみである。

吉沢と山崎といえば、絶賛公開中の映画「キングダム」での共演が真っ先に思い浮かぶ。月9と日曜劇場という伝統ある枠で、どちらが視聴率争いを制するのか楽しみである。

ドラマの枠。月9は、「東京ラブストーリー」や「ひとつ屋根の下」など大ヒットドラマがいくつも並び、フジテレビの黄金期を支えた枠。そして日曜劇場といえば、社会現象にもなった「半沢直樹」が真っ先にあがる。池井戸潤が描く社会派ドラマは会社員の心を揺さぶり「下町ロケット」「陸王」へとつながっていく。

他にも木曜劇場など安定したドラマ枠もあるが、最近は深夜帯が面白い。有名どころでは、テレビ東京で金曜日深夜に放送されているドラマ24。「孤独のグルメ」や「勇者ヨシヒコと導かれし七人」など話題となった作品が多い。実験的な作風に加え、アイドルがグループごとキャスティングされたり、ドラマ畑ではないクリエーターが抜てきされたりと毎回飽きさせない作りになっている。

そして、さらに注目したいのがMBS制作の深夜枠・ドラマ特区。特徴としては、人気原作に若手キャストに若手クリエーター、ドラマ24とはまた違った期待枠である。30分枠、6話程度とお試しで見やすく、少し長めの映画といったところだろうか。今後、若手の登竜門となりそうな予感がする。

そこで今回紹介したいのは、現在ドラマ特区で放送中のドラマ「少年のアビス」に出演している本田望結(18)。愛菜ちゃんや福くんと共に天才子役としてメディアに登場、ドラマ「家政婦のミタ」で人気を博し一躍トップに上り詰める。その後、女優としてキャリアを重ねる中、フィギュアスケートでも好成績を納める。

さらには兄と姉がフィギュアスケート選手で、妹は子役兼フィギュアスケーターといった華麗な背景が次々とわかる。姉妹で出演しているYouTubeは登録数が50万人を超え、人気子役から人気女優・タレントにしっかりと成長している。

そこで「少年のアビス」、週刊ヤングジャンプで連載中の人気作品。“心中”をテーマに人間の欲望と闇を映しだす意欲作である。本田が演じるのは主人公の幼なじみの「チャコ」。原作では、少しぽっちゃりしていて黒縁眼鏡をかけ髪形はお団子ヘア、地方に生まれたデブでチビでブスでオタクで…と紹介されている。 これまでの華麗なキャリアからはかけ離れた役であるが、見た目からしてピタッと合わせにきている。子供のころから見慣れた彼女をしばらくの間、気が付かなかった。安定した演技はさすがで、子供の頃の面影はいい意味でなくなっている。

フィギュアスケートに姉妹での共演、いろいろな経験を経て、本格的な女優へと順調なスタートを切ったのではないかと思う。今後どんな役を演じるか楽しみである。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーに。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。今年は2月に演出舞台「政見放送」を上演、5月20日には最新監督映画「さよならグッド・バイ」が公開された。8月10日から14日までは演出舞台「ハイスクール・ハイ・ライフ」を上演。カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営している。